2001年4月4日(水)13:47

ラウ大統領:「国民国家の連邦のために欧州憲法の制定を」

ストラスブール(ロイター)

ドイツのヨハネス・ラウ大統領は欧州議会において、将来の国民国家の連邦 Foederation der Nationalstaaten のために欧州憲法を制定するよう訴えた。演説原稿によれば、「欧州憲法は欧州という建物の最後の要石ではない。むしろその礎石とならねばならない」とラウ大統領は水曜日、ストラスブールの欧州議会議員を前に語った。この憲法は「ヨーロッパが中央集権的な超国家 Superstaat とはならず、われわれが『国民国家の連邦』 Foederation der Nationalstaaten を築くことを定めるものである」。その際、従来の欧州議会と欧州連合(EU)の閣僚理事会を真の二院制議会につくりかえ、欧州委員会に一層の正統性を持たせることが必要である、と大統領は述べた。

この演説でラウ大統領は、とりわけドイツのヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)が2000年5月にEUの将来の発展に関する演説によって火を付けた議論を再開させたことになる。フィッシャー外相もベルリンのフンボルト大学において「個人の資格で」行った演説の中で、憲法で結ばれる国民国家のヨーロッパ連邦を提唱している。だがこのフィッシャー外相の欧州の最終段階に関する考察は他のEU諸国では懐疑と拒絶に会った。しかし、ヨーロッパの将来の形態に関する問いは、2000年12月のニース首脳会議でのEU機構改革をめぐる論争により、このところ表立った議論から遠ざけられていた。

大統領府の広報官は、ラウ大統領の演説はドイツ政府と公式に調整を行ったものではない。しかし、このような重要なテーマでは常のように、政府はあらかじめ演説内容を承知している、と述べた。

欧州の超国家に対するとりわけフランスとイギリスの警戒感や、ドイツ的連邦に対する警戒感に直接に言及することなく、ラウ大統領はこれらの懸念を退けた。国民国家は「そのあらゆる相違性において...ヨーロッパの多様性の保証として」今後なお必要とされるであろう、とラウ大統領は述べた。「われわれは統一国家を望まないがゆえに、まさに憲法が必要となるのである。」

憲法は、民主主義の諸原則を欧州レベルで強化し、見通しの効かない、民主的正統性に欠けるところのあるEUに対する人々の懸念を払拭するための最良のチャンスなのである。この憲法はニースで採択された基本権憲章、および補完性原則に基づくEUと国民国家の権限分割を柱とする。第三の柱はヨーロッパの機構組織に関する規定で、この機構組織には一層の民主的正統性が与えられねばならない。加えて、将来の欧州議会は等しい権利を持つ二つの議院から構成されねばならない。閣僚理事会を発展させた「国家議院」Staatenkammer には国民国家からそれぞれの政府が代表として送られる、と大統領は語った。

欧州委員会についても、国民もしくは欧州議会の両院から委員を選出することにより一層の正統性を付与し、権限の強化をはかる。欧州委員会の法案提出権も「欧州の統合プロセスの支え」として引き続き維持されねばならない。なぜなら、この数ヶ月の論議は、政府間協力の方法がその能力の限界に達したことを示したからである、とラウ大統領は述べた。

原題:Rau: Europaeische Verfassung fuer Nationalstaaten-Foederation